英語にまるわるちょっとしたお話しをお伝えしていきます。

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2013.10.1 出雲大社を訪ねて

遅い夏休み、今年は国内を旅して過ごすことに決めた。日本の国のカタチ、始まり、そういうことをしっかり心に感じたいと思っていたから。

もう10年以上も前のこと、アメリカの大学で宗教クラスでのディスカッションを今でも忘れられない。その日の内容は、”世界の始まり”について。旧約聖書の神が6日間でこの世を創造したという『創世記』説と、猿が進化して人間になったという『進化論』説と「どちらを信じるか」という教授の問いに学生達は熱く語っていた。神について、宗教について自分の考えを持ち、意見を交わしているアメリカ人学生達に圧倒されながら、うらやましいとも思った。私は正直語るべき自分の考えがなく、ただ聞いているだけ。それまで私は”世界の始まり”について、深く考えたことがなかったかもしれない。

Marywood大学(ペンシルバニア州)はカトリック大学、70%の学生がカトリック信者で子どもの頃から教会に通い聖書を読んで育った人達。キャンパス内には礼拝堂があり毎日2回礼拝が行われていた。アメリカ人の話しの中に”神”はよく出て来るし、宗教が人生の中心にある人々と何人も会ってきた。そんな中で過ごしていると、否が応でも「自分の宗教って?」「私は何を信じて生きているの?」ということを考えさせられ、哲学的にならざるを得なかった。

その宗教クラスでの教授の問いに対する”自分の中での答え”のようなものを探し帰国後は本を読んだり、人の話しを聞いたり。でも、もっと実感を持って「日本人のモトとは?」ということを感じたい思いが募り、それが出雲大社を訪れるきっかけの1つとなった。更に2013年はスペシャルイアー、出雲大社では60年に一度の大遷宮が行われる年・・・「行かなくちゃ!」どうやら出雲に呼ばれたらしい。

念願叶って出雲大社に到着、昨今のパワースポット人気も相まって『観光地化』していたことに少しがっかりもしたが、ここは神の国。参道に並ぶお土産屋さんで買い物をし、お蕎麦屋さんの前の長蛇の列を横目に見つつ、この時代にあって人々は”不変な何か””心の拠り所”を求めているような気がした。

さて『縁結びの神様』として知られている出雲大社の始まりには諸説があるよう。『古事記』によると日本を創った男神”伊邪那岐命”と女神”伊邪那美命の子孫”大国主の大神”が国譲りの際、高い宮を建てることを条件にして建てられたという。659年創建と伝えられているようだが、伝承ゆえにこれも確かなものではない。国譲りの時に、「私はこれから、隠れたる神事(目に見えない人の縁)を治めよう」と大国主の大神が言ったということから縁結びの神様となった、と出雲大社を訪ねて知った。旧暦10月の神在月には出雲大社から全国から八百万の神が集まり縁結びの会議をするという。ご本殿の側には神様の宿もあり、「神様は日本海からこの山を越えて出雲にいらっしゃるのです。」という話しを聞いたときは、信じてみようという気持ちになった。

出雲大社が成立した背景が書かれているという『古事記』についても気になるところ。『古事記』昨年2012年、編纂1300年を迎えたという。本棚にある『古事記』を箱から出して開いてみる。始まりはこう・・・

臣安万侶が申し上げます。およそ、混沌とした始めの気が既に凝結して、きざし・形はまだ現れない。名付けようがなく、働きもないから、だれがその形を知りえようか。しかしながら、天地が初めて分かれると、三神が万物の始まりとなった。陰と陽がここで分かれ、二柱の神がすべてのものの生みの親となった。そうして、この二神は、黄泉国・現し国に行き帰り、禊して目を洗う時に日神・月神が現れた。海水に浮き沈みして禊する時に神が現れた。さて、その世界の始めのさまは奥暗いけれども、語り伝えによって国土を孕み島を生んだときのことを知る。
『古事記』現代語訳より

なんて美しい国の、世界の始まりだろう。『古事記』は縄文から弥生にかけて日本列島で繰り広げられた壮大な歴史物語、神の物語が綴られているという。本棚から取り出し数年ぶりに開く『古事記』に感動している。意味がよくわからない原文を音読しては、日本語の美しさに唸り、次々生まれる神の物語に苦笑したり。実はちょっぴり俗っぽいのも惹かれてしまう。天照大御神、速須佐之男命などはよく知られている神様、他に次々登場する神様たち、木花知流比売、須勢理毘売、思金神・・・それにしても神様が大勢いるものだ。道理で八百万の神、というわけだ。キリスト教やイスラム教の一神教とは明らかに違う。今なら、メリウッドの大好きだったDr. Zamusの宗教クラスで、語れるかもしれない、語りたい。

秋晴れの日に訪れた出雲大社は、そこに目に見えない何かを信じる力をくれた。遠くに聳える山々と青い空、風になびく日本国旗を見ながら気持ちが静かになるのを感じた。
神聖な何か、神が宿ったか・・・


【参考文献】
・古事記  小学館
・サライ 2012年2月号 大特集『古事記』を読む・歩く・味わう 小学館発行
・日経おとなのOFF 特別編集 『伊勢神宮と出雲大社』 日経BP社



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