アメリカ時代の友人Mariekeに会いに、オランダを訪れたときのこと。その日仕事があるMariekeに代わりに、彼女のママがプチガイドをしてくれた。アムステルダムから列車に揺られて約1時間。牧歌的な風景を車窓から眺めながら、着いたところはアウデワーターという小さな町。なんでもそこには、魔女の秤があるらしい・・・
興味津々で、Mariekeママの後をついて行く。見逃してしまいそうな小さな建物のドアを開けると、気の良さそうな初老の紳士が迎えてくれた。目の前には、ロープで吊るされた大きな木の板。 これ何? Mareikeママの説明によると、「これは”魔女の秤”。あなたが魔女かどうかを確かめるための秤。」と聞いた。
えぇーーー!! 私、魔女かもしれないの?! それもいいかも! ・・・と私はワクワク。早速その秤に乗って魔女チェック☆★ ・・・先ほど出向かえてくれた初老の紳士が、にんまり笑顔でどうやら私の名前を聞きサラサラ~サインして証明書を手渡してくれた。 「あなたは、正真正銘の魔女ではありません。」 と書かれているはず(オランダ語なのでわからない)の証明書。そして、この数字は? (・・・シィーー内緒!)私の体重。体重検査の結果、私は「魔女ではない」と証明された。
魔女は空を飛ぶので、体重が軽い人(確か50Kg以下)が魔女と証明される。魔女ではない!と認定された私は喜んでいいのやらどうやら・・・ 面白い習慣もあるものですね。遊び心いっぱいのオランダ人が考えたこと?と思いきや、この魔女の秤には中世ヨーロッパの歴史的事実に纏わるお話しを知った。
この魔女の秤は、魔女狩りが行なわれていた中世ヨーロッパの名残を残すもので、証明書を発行してくれるヨーロッパでは唯一の場所という。魔女の疑いのかけられた人たち。悪名高い魔女狩りの結果ヨーロッパでは100万の人が殺されたと言われている。魔女裁判には大きく分けて3つの方法があり、その一つに体重を計る検査というものがあった。魔女の容疑者は白い服を着せられて秤にかけられる。身長から100引いた数字以下の体重(kg)の人が、魔女と見みなされた。なぜなら魔女は普通の人より極端に軽い(箒にまたがって空を飛ぶため)とされていたから。
私が訪れたオランダ、アウデワーターにある魔女裁判用の秤は、1482年に作られたもの。実際使われていたものと聞いた。 それにしても、西洋のお話しにはよく魔女が登場する。象徴的な存在として魔女が現れる。不思議で、こわくて、絶対的で・・・それらは、歴史を紐解いていくと魔女についてもっと知ることができるに違いない。
それにしても、今だかつて箒に乗って空を飛ぶ魔女を見た人はいない・・・。もうすぐハロウィーン。
英語さんぽ道