“Expo Milano 2015″に行ってきた。ミラノ万博は、2015年5月から10月まで開催されている国際博覧会、5年毎に場所を移し行われる万博を”地球規模の学園祭”と、そこで働いていたAyaは言う。うまいこと言うな〜・・・Milano Expo のテーマは”Feeding the Planet, Energy for Life.地球に食料を、生命にエネルギーを”。身近な”食”がテーマ、食いしん坊集まれーー!である。
100以上ある各国パビリオンのなかでも、とりわけ人気のある『日本館』ここでアテンダントとして働くLet’s Talk!卒業生を訪ねてミラノに向かった。ミラノ到着の翌日、午前中から早速万博会場があるRho Fiera Milano駅へ。駅から直結している万博会場入り口に着くと、すでに入場待ちの人々の長い列がある。私は1時間待ち会場入り。様々な人種の人人人・・・東西に伸びる大通りの両脇には世界各国のパビリオンが並ぶ。”地球規模の学園祭”Ayaが言っていた意味がよーくわかる。その雰囲気を味わいながら、立ち止まっては目を凝らし、そうして辿り着いた『日本館』は、正面入り口の遠くの方に位置している。木造りの建物、日本全国の日本酒ディスプレイ。そして、横には長蛇の列。「これか・・・」とニュース等で報道されている日本館の待ち時間の長さを目の当たりに感無量。この時の待ち時間は2時間半。「待つのが嫌いなイタリア人が待っているのだから、相当なことよ。」と、日本館スタッフのAya。
ドキドキしながら外国人な気分で中に入ると・・・
最初に導かれた空間では、書とアートが織りなす日本のアートが表現された映像が迎えてくれる。次の部屋は、日本の四季折々の田園風景や祭りが表現された部屋、次は日本食の素材、米、出汁、和菓子・・・のディスプレイ。日本の伝統工芸、職人技を伺い知ることができる展示スペースには息をのんだ。侘び寂び、静寂の美。日本の風土のなかで育まれてきた芸術文化である。最後の部屋は、日本の食をバーチャル体感をさせてくれるFuture restaurant。箸を持ち、目の前のテーブルに美しい懐石料理の疑似体験をさせてくれるエンターティメントスペースである。
7つあるという部屋の1つには、地球全体のエネルギー問題、食料問題等が映像やデジタルで、日本は何ができるかという提案、発信がされているところがあった。現代日本の技術力に驚く。世界の中の日本、よりよい地球環境をつくっていくため地球市民として、私たちは何をすべきだろう。
人の流れの中で、日本に感心を寄せ、感動している外国人の背中を眺めながら、ジーンと胸がアツくなるのを感じた。ニッポンに初めて旅した外国人のような目線で我が国を眺め、改めていい国だな〜と。平成25年『ユネスコ無形文化遺産』に登録された和食は、世界に誇る食文化と言っていいだろう。日本館出口付近に空を仰ぐように凛と枝を広げる松の木を眺めながら感慨深く立ち止まる。日本館の余韻を味わいながら、日本から帰るのを惜しむ外国人のように。そして気づいたのは、日本の伝統食がいかに四季折々の自然の恵を大切にしてきたか、私たちの祖先が暮しの知恵のなかで大切に育んできたかということ、また食を通して日本人の自然感や宗教観を伺い知ることができた気がする。
素材を活かし、海の幸、山の幸に恵まれた日本の食、それなのに我が国の食料自給率は現在50%を切っている。食の欧米化、インターネットの時代、世界の食べ物が容易に手に入るようになった。TPP問題は、日本人の食卓にどのような影響を与えていくのだろう。じっと世界の動き、日本の選択を見ていたいと思う。
私自身は食べること、料理をすることに歓びを感じ、外国を旅しては土地の食べ物を食べてみるのが好き。何でもトライする。色んな食を味わってみたい。それでも、「おばあちゃんが作ってくれた素朴な昔のごはんが一番」と思うようになり出汁をとり、鍋でご飯を炊く。最後の晩餐は、母の梅干しと炊きたてのごはんがいい。私たちの舌が覚えている、心が覚えている味の記憶がある。それは魂が喜ぶこと。私たちの体を作り、心を育ててきた食べもの、そこに立ち返ることは私たちのアイデンティティを確かな物にしてくれるのではないだろうか。
英語さんぽ道