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セーラジャーナル

英語さんぽ道

マンダリン・オリエンタル

「あれ、その話し知ってるかも。読んだかも・・・」
友人が話すその小説のストーリーに、記憶を辿る。

「”好青年”の恋人、沓子がザ・マンダリン・オリエンタル・バンコクのスィートに住んでいて・・・。」と友人のアニー。「セーラ、辻仁成の『サヨナライツカ』って知ってる?」本棚を捜すと、あった!赤い表紙のその本、縦書きで『サヨナライツカ』と。

再び読み始めた。主人公”好青年”の風見鶏のような言動に腹を立てつつ、『サヨナライツカ』を数年ぶりに読む。折しも、アニーから贈り物。開けると、中には『ザ・オリエンタル東京ブレンド』と書かれたお茶、開けた途端にフレーバーティの香りが漂う。アジアな香り・・・
 
「お姉ちゃんの誕生日のお祝いに、ザ・マンダリン・オリエンタル・東京のアフタヌーンティをプレゼントしての。そこで買ったお茶をセーラにシェアね。」と。アニーは、その前の電話で、ザ・マンダリン・オリエンタル・東京ラウンジでのアフタヌーンティがいかに満足のいくものであったか、興奮気味に話して聴かせてくれた。ラウンジからの眺め、数々のお茶とスィーツ、そして何よりも彼女が感動していたのはホテルマンたちのサービス。話しを折らないよう、絶妙なタイミングでテーブルにサーヴゥに来ると。

読んでいた『サヨナライツカ』のザ・マンダリン・オリエンタルの描写と重ねて、アニーが過ごした、その素敵な贈り物、素敵な時間を想像してみる。


沓子は、ザ・マンダリン・オリエンタル・バンコクのスィートで暮らしていた。彼女が住むその”サマーセットモームスィート”

まず玄関を入ってすぐの40畳ほどのリビング、そしてその隣に面した、その倍はあろうかという広さの寝室、さらにその奥に用意された隠し部屋のようなバスルームで成っていた。壁紙は落ち着いてはいるが濃いめのピンク色で統一され、その細かい南国の花の模様入りの壁紙が・・・

『サヨナライツカ』辻 仁成 著 より


そうして、再びこの小説を読んでいるうちに、私もそこに行ってみたくなる。東京、日本橋にあるという『マンダリン・オリエンタル東京』に。それも、アニーのように誰かにプレゼントしたい。

マンダリン・オリエンタルは、1963年イギリス系大手商社ジャーディン・マセソンが香港にオープンした『マンダリン香港』が始まり。1985年に現在の現在の『マンダリン・オリエンタル』ホテルグループに改名し、現在は13カ国に21のホテルを展開している。(Wikipediaより)


そうだ!

ホテル好きの、姪へのプレゼントにしよう。4月は彼女の誕生日月、そして大学入学のお祝いを兼ねて。早速予約。窓際の席を、そして誕生日メッセージも添えてもらうようお願いした。

東京が桜の満開を迎えていた日の午後3:30、アフタヌーンティーを予約。
姪と2人、「何を着ていこうか〜。靴は?バッグは?」と数日前から心待ちにする。さて、その日がやってきた。背筋を伸ばしてドキドキしながらエントランスへ。高級感漂うフロントに入ると、品のいい立ち居振る舞いが美しいホテルマンたちが目に入る。そして、ムスクかしらオリエンタルな香りがお出迎え。

そして、エレベーターで38階のラウンジに向かう。
辺りをキョロキョロしたい衝動を抑えて、できるだけ大人に振るまおう。
「15:30に予約していました・・・」光が射し込むスペィシーなラウンジの窓席に通される。ウェルカムドリンクは、さくらのアイスティ。丁度東京は桜が満開の日、窓越し遠くにこんもり桜が咲いているのが見える。

20種類ほどある紅茶を好きなだけ召し上がれ〜ということで、ダージリン、アッサムなどのスタンダード紅茶から、ホワイトサングリア、モーリシャスなどリゾート気分を引き出してくれる紅茶、ハーブティーも用意されている。全ての紅茶がアイスでもホットでも可。迷う・・・ そうしているうちに、憧れの3段のアフタヌーンティセットが運ばれてくる。1段目は、キッシュ、きゅうりサンドウィッチ、サーモンパイなどお食事、2段目はサバラン、カスタードケーキなどスィーツ、3段目はプチフールやゼリー等。更に、焼きたてスコーンが運ばれてくる。What a treat!!!


茶器の1つ1つがオリエンタルの雰囲気漂う美しいあつらえ、目にも心にもよい。そして、心地よいサーヴィスに時間を忘れる。アニーが言っていたように、その注文をとりに来るタイミング、運ばれてくるタイミングが絶妙なのである。一流の人として扱われる気持ちよさを味わう。

38階の窓際席から夕陽が沈んでいくのを見届けながら、最後に私たちが注文したのは、マンダリン・オリエンタル・ブレンドティー。嗅ぎ覚えのある紅茶のフレイバー。アニーが贈ってくれた、あの紅茶が私たちをここに連れて来てくれた・・・小説『サヨナライツカ』の結末はちょっぴり悲しいけれど、私たちはまたいつかここに来たい。
サヨナライツカ・・・




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