「最後の日は、2人で買い物に行って外に出たら雨が降ってたの。(彼女の)ホストファミリーの家まで、何にもしゃべらないで家までたどり着いた。雨が降っていたし、益々悲しくて・・・。2人とも泣きながら別れた。」
と中学生の海ちゃん。
「そうだよね、そうだよね。わかるー。」と私。海ちゃんは、1週間前に別れたホストシスターと過ごした最後の日のことをしみじみ語って聞かせてくれた。フランスから日本に留学していたマノンは、海ちゃんの家に4ヶ月間ホームステイしていた。一人っ子の海ちゃんと、海ちゃんと同じ年の妹がいるマノンはすぐ仲良くなり、一緒にいるときは本当の姉妹のようだった。
マノンが日本での最後の日に海ちゃんに会いに行ったということが、私はとてもうれしくて。最後の日に一緒にいたい人、大事な人だったのね。
その話しを聞きながら、自分の「さよなら」を思い出し、海ちゃんの気持ちがひしひしとわかり、涙が出そうになった。気持ちを触れ合わせた人々との別れ。空港でハグして泣いて泣いて、沢山のありがとうもきちんと言えぬまま帰りの飛行機に乗り、それからも涙が止まらないこともあった。こんな悲しい別れがあるものか、とその時思った。絶望的な気持ち。あの時「また来てね。」とホストファミリー、友人が言ってくれたひと言を本気で受け取って、帰りの飛行機の半分くらい泣いていたかもしれない。
誰でも人生のなかで別れに遭遇する。卒業、引っ越し、転勤・・・ライフステージの変化による別れもあれば、不本意な別れもある。不慮の事故や病気による最愛の人との永遠の別れもある。「さよならは、出会いの始まり」というけれど、別れはやはり辛い。
しかしながら、考えてみると”別れが辛い”ということは、それだけ大切な存在であるということ。そんな人に出会えたのは、しあわせなことかもしれない。
ほんとうのさようなら、って何だろう?
永遠の別れ?一生の別れ?本当ではない別れって?私が考える”ほんとうのさようなら”は「ありがとう。貴方と出会えてよかった。」と心が温かくなる人との物理的な一時的なさよなら、のこと。さよならをした瞬間に「また会いたい!」と思える人とのさようなら。ミスチルは、彼らの楽曲『花の匂い』のなかでこう歌っている。
”本当のさよなら”をしても温かい呼吸が私には聞こえる
別の姿で同じ愛眼差しで あなたはきっとまた会いに来てくれる
”あなた”はきっと会いに来てくれるかもしれない、”わたし”がきっと会いに行くかもしれない。「本当に会いたい人にはまた会える」ということを、私は幾つもの別れを通して知った。涙の別れの後には再会があるってことを。「地球上のどこかに生きている限り、お互いに願えば会いたい人には会える。」と私の友人が言っていた。強く願う気持ちで、引き寄せ合う力が働くから。引力の法則?
離れることが「会いたい」と思う気持ちを育てる。離れることで絆が強まることもある。だから私は海ちゃんとマノンは「また会える」と信じている。確信している。
英語さんぽ道