この冬の間、生徒達と取り組んでいた『森プロジェクト』(森の大切さを伝える絵を描いてロシア・ウラジオストク植物園に送るためのレッツトーク独自のプロジェクト)には後日談があり、思いがけずロシアの郵便事情や国民性を垣間みることになる。
作品の締め切りが3/1、予定していた作品の完成を1週間延ばし2/25(月)大急ぎで郵便局に走った。ウラジオストクまで順調に届いて3/1には間に合うということ。それでもギリギリ。初めてロシアに郵便物を送った。未知の国へ送るエアメールは心躍る。郵送の状況が追跡できるようEMSで「これでいいよね、大丈夫だよね。」と何度も確認の後、私の手元を離れていった。
今回ロシアへ子ども達の絵を送るにあたり、その都度アドバイスと導きを頂いた『日本−ウラジオストク協会』の田代さんからこんなことを聞いた。送り状には”picture”と書かないこと。なぜならpicture=絵画=美術作品と理解されると大変、高い税金がかかる上に、先方に届かないまたは大幅な遅延が起こる可能性があるとのこと。へぇ〜・・・
田代さんへ「無事ロシアに作品を送りました。」を知らせるメールを送ると、「EMSの発送番号、送り状をスキャンして送ってほしい」とのこと。安心するのはまだ早い?!随分厳重だなーとも思ったけれど、指示通りにして到着を待った。
すると、締め切りを当に過ぎた3/19田代さんからメール「ウラジオストクにまだ荷物が届いていません!」との知らせ。
んんん・・・どうしたものか・・・
待ち焦がれて、待ちくたびれて?・・・ようやく田代さんより「荷物が届きました!」と連絡があったのが、4月上旬。4/6届いたということ。ほっ。私の手元を離れてから、1ヶ月以上かかり船便並みの時間をかけて、隣国ロシア・ウラジオストクに子ども達の作品が届いた。
ウラジオストク植物園・担当のアリビナさんによると、「送り状に誰宛かが書かれていなかったためモスクワ税関で発送禁止になっていて、荷物はモスクワにありました。1週間前にようやく全てを説明し、こちらで受け取り書類を用意し、モスクワ税関とやりとりをして、昨日ようやく作品を受け取りました。」
ここで、ロシアの地図を描いて頂きたい。広い広いロシア。日本の45倍もの国土を持つ国。モスクワはアジアにも近く、ヨーロッパにも近い。西側はヨーロッパと国境を接している。ウラジオストクは東側。ウラジオストクから首都モスクワへより、むしろウラジオストクから日本への方が近いのだ。
以下は、アリビナさんから田代さんへのメッセージ。
Здравствуйте, Норико!
Мы наконец-то смогли получить рисунки!
Дело в том, что из-за того что на посылке не был указан конкретный получатель, а только название организации, таможня г. Москвы запретила выдавать посылку без предоставления определённого перечня документов. А в Ботаническом саду секретарь не знал кому конкретно пришла посылка и следовательно не знал о её содержимом. Неделю назад всё выяснилось и некоторое ушло на подготовку документов и общение с таможней. Вчера мы их забрали 🙂 чему очень рады. Благодарим детей за их творчество!
Просьба, в следующий раз указывайте в получателях моё имя.
Альбина Ближатая
ロシア語です。
この文章を田代さんが日本語で私に伝えてくれた。
締め切り日を大幅に過ぎた子ども達の作品は、それでも受け取り植物会議で使われたそうだ。なんて寛大な!田代さんからのメールには、「ロシアは知恵では計れない。常識では理解不能。」とロシアの詩人セージンは書いています。こんなロシアですが、どうか嫌いにならないで下さい。と。嫌いになりません!むしろ興味津々。
『森プロジェクト』後日談には”おまけ”があり・・・。9名送ったレッツトークの生徒の作品のなかで4名が入賞したという知らせ。びっくり!手探りで作品作りに取り組み、まずは仕上げて首を傾げながら送った作品達だったから。1ヶ月後には賞状と参加賞が届いた。うれしい。
宛名が書いていないからと郵送の差し止めになり大回りをして荷物が届く不確かさ、締め切りを過ぎても作品が届くのを待ち、受け取ってくれる大らかさ。どちらもロシアの側面、大きな国に様々な民族が住むロシアでは多種多様な常識があり得るのだろう。異文化に触れるというのは、これまでの常識を覆される心地よさがある。
来年2014年は、冬季オリンピックがロシア・ソチで行われる。今回のプロジェクトで少〜しお近づきになったロシアでの開催を楽しみに、また”ロシア事情”なるものを垣間みることができるかもしれない、とワクワクしている。